子宮蓄膿症ぐぐる


注意!!
子宮に膿が溜まるという病気で命に関ります。
子宮に溜まった膿の毒素が体を回り、下痢や嘔吐を引き起こし、治療が遅れると死に至ります。
膿で子宮が破裂する事もあるため、治療は一刻を争います。
本当に一刻を争うため、病院に行って「下痢・嘔吐・食欲が無い」と受付に伝えると、他に重病の子が居なければ、多分順番を先にして診てもらえると思います。
かかりつけの病院でなければ避妊手術をしていない事も伝えると多分確実です。
(モタモタ順番通りにしているようなら病院自体が大丈夫か心配です)
薬で治す治療もあるようですが再発率が高いそうで、ほとんどが外科手術で子宮と卵巣を摘出する事になりそうです。
とても多い病気ですが、外科的治療で完治します。
予防は避妊手術しかありませんので、女の子のワンちゃんは本当に気を付けましょう。

2008年、モモ8歳のある日の夜、仕事から帰ると下痢と嘔吐をしていた。
何か所かにしていた。
おかしい、、トイレを失敗する事はまず無いし、ましてや下痢と嘔吐を同時にするとなれば、まず考えねばならないのは病気です。

しかし元気はあるようで散歩には行くと言うし、食欲も問題ない。
だけどもモモは食いしん坊、食欲あっても油断は禁物。
本当に食欲が無くなるまで待ってしまえば、病院に行った時には「手遅れ」となる事も、モモほどの犬なら有りそうだ。

一通りモモのお世話をした後様子を見るも、何だかいつもと雰囲気が違う。気がする。
グッタリしてるというほどでも無いけれど、何となく様子が違う。。気がする。。。
明日、会社は休んで朝一で病院へ行くことは決めたので、モモの様子を見ながらどんな病気が考えられるかググってみよう。
ぐったりしていればそんな事をしている場合では無いのだけれど、病気の当たりを付けておくのは大事だ。
どんな病気でどんな治療法があって、どんなトラブルがあって、その後どうなるか、知っていた方がいいし、何かあった時に「知らなかった」では済まされないのだ。

まず、「犬 下痢 嘔吐」で検索。
色々出て来るものを片っ端から読んでみる。
嘔吐した物の中に異物は無かったし、下痢に血は混じっていないし、食欲はあるので消化器系の異常では無さそうだ。
いつもより元気が少々無いような気もするけれど、、、
どれなんだ…、どんな病気なんだと、一生懸命検索しまくり、その中で目に止まったのが「子宮蓄膿症」。

モモは避妊手術をしていない。歳も割といっている。
そういう子によくある病気だと、聞いた事は今までに何度もある。
今度はこのワードで検索をかけ、ヒットしたページを何ページも読んでみる。
子宮蓄膿症の症状としては、以下のものが上げられるようです。
  • 下痢
  • 嘔吐
  • 発熱
  • 元気が無い
  • 食欲が無い
  • 陰部より膿が出て来る(まったくでない場合もあるがこっちの方が破裂の危険有り)
  • 多飲多尿
  • 腹部が腫れている
  • 陰部を舐める(気にする)
  • 他の臓器の異常
上記の赤字はモモに現れた症状で、青字は微妙な感じであまりはっきり出なかった症状です。
これらは細菌の毒素のせいで出る症状ですので、すでに細菌の毒素が体を回っているという事です。怖い事なのです。
ヒートの後の期間がうんぬんと書いてあるのも見つけましたが、モモは何年か前にヒートはすでに来なくなっていました。

「陰部より膿が出て来る」というのが、注意して見ていて夜遅い時間になってから確認出来た症状で、大量に出るわけでもなく、「これ…そうかな…?」という程度でした。
本当にちょっぴり。
「子宮蓄膿症」という病気に引っかかっていなければ、見逃していたかもしれません。
恐ろしいです…。

そんなチョットの膿を見つけてしまったので、ほぼ「この病気だな」と確信しました。
しかも膿が出てこないという事は、お腹にたまる一方で破裂の恐れがあるという事。
子宮蓄膿症には開放型と閉鎖型というのがあるようですが、こんなにチョットしか膿が出ないのなら、破裂の恐れがある危ない方の閉鎖型なんだろうかと、少し寒くなって来ました。。

この病気の治療となると手術です。
お腹を切り開くなど、、自分でもやった事がないので、、、コワイ。。。やりたくない。
だけども下記点を考えると、病院に行って早々に私は決心をしなければいけなさそうだ。
  • 自然治癒はあまりない(ほっておけば死に至る)
  • 内科的治療(細菌の働きを抑える抗生剤の投与やホルモン剤)では再発率が高い
  • 内科的治療では細菌を全て取り去る事は難しい
  • 早くに治療をしなければいけない
この病気ならきっと手術を選択しなければいけない。
のんびりと様子を見てから決めるという訳にも行きそうも無い。
出来れば似た症状の、もっと危険の無い、薬だけで治るような病気ならいいのだけれど、、
どうにも期待は薄そうだ。
手術はしたくない。痛そうで、怖い。。
今は少ないとはいえゼロでは無い麻酔のリスク、まさかの手術失敗…。術後の合併症…。。
気にしていると眩暈がして倒れそうだ。
モモに気付かれないよう、コッソリ、ビクビクしながら朝を待った。

当時は派遣で仕事をしていたのだが、手術になればお見舞いに行ったりなんだりと、何日か休む事になりそうだ。
さすがに「犬の見舞いで休む」とは言い辛く、事前に「祖母が急病で」という事にして、まとめて休みを取得した★
犬命第一なので仕方がない。が、周りの人を不愉快にしてもいけない。
ということでついた苦渋の嘘だ。
何があっても、例え仕事をクビになったりお嫁に行けなくなったとしても、私はモモを第一に考えるとそう誓っている。
一緒に暮らすにあたり心に決めた事なので、死んでもこの誓いは破らない。
いや、私はモモより先には死なないのだけれど。

そして次の日朝一で病院に行ったのに、すでに何人かはもう診察に来ていた。
「私とした事がこの一大事に出遅れた!」と愕然としたのですが、様子を聞きに来てくれた受付の人に下痢・嘔吐・おりものらしきものが出る事を伝えると、診察の順番を変えてくれ最初に診てもらう事が出来た。
症状の他にモモの年齢と避妊手術をしていない事で(かかりつけの病院なので)、病院側もまず子宮蓄膿症を疑ったのだろう。
先に来ていた方達に「すみません」とお詫びをして、私はモモと診察室に入って行った。

問診の後、血液検査やレントゲン検査をし、やはり子宮蓄膿症である事に間違い無さそうという事だった。
「違う病気って事は無いですか!?」と一応聞いてみるも、
絶対無いとは言い切れないけれど、陰部から膿も出ているようだし、レントゲンでもお腹の辺りに何かが溜まっているのは見えているし、白血球の値も高いし、年齢と避妊していない事をを考えるとほぼ間違い無いと、言われてしまいました。
オススメの治療はやはり手術です。
すでに嘔吐・下痢等の症状が出ている(毒素が身体に回っている)ため、薬での治療では間に合わないかもしれないし再発率も高い。
何とか手術しなくてもいい病気だったらと思っていたのですが、やはりそうは行きませんでした。残念です。

なんせ私が大の病院嫌いなものですから、手術なんて怖くて仕方がありません。
お医者さんは、一刻を争うけれどもし迷っているのなら今日一日だけなら待ってもいい、その間悪化するかもしれないけれどと、優しく恐ろしい事をおっしゃるので、
私はとうとう観念し、その日のうちの手術をお願いしました。

散々夜中まで調べて子宮蓄膿症なら手術しか無いと考えていたのですが、自分が病院大嫌いで、自分なら手術でお腹をかっさばかれるくらいなら死んだ方がマシと思っていたものですから、、ビビッて少しグズグズしてしまいました。。。

手術になるかもと念のため、モモはこの日は朝ごはん抜きで病院に来ていました。
私は怖くても準備は万端です。
さっそく手術に備えて点滴を開始すると、何かあったら連絡するので私はもう帰っていいと言われました。
そこを少しだけ待ってもらい、ちょっとだけ散歩をさせてもらいました。
モモ、病院に来る時に、車に乗ってお出かけと喜んでいましたので、手術で痛くなる前に少しだけ楽しい事をしてあげたかったのです。
そして許可を得てほんの少しだけ一緒にお散歩をしました。

いつもなら楽しい散歩道も、私は涙で前が見えません。
この後の事が心配で、心配で、涙が溢れて止まりません。
そしてチョットだけのつもりが前が見えなく道に迷い、、予定よりモタモタと散歩をしてしまいました。。。
冷静で聡明な方ならこんなアホな事はしないと思うのですが、私はちょっとダメでした。

夕方には手術は終わっているので、午後の診察時間になったら面会に来てもいいですよと言われ、それまで私は家に帰る事なく車の中で泣きながら待っていました。
もし麻酔から覚めなかったら、手術中に何かあったら、お医者さんがヘタクソだったら、、、そんな失礼な事を考えると、怖くて心配で涙が溢れて止まらないのです。
まったく気が気ではありません。
馬鹿でもアホでもチョンでも不細工でもいいから、モモに病気になってもらいたくありません。
犬でも人でも健康に勝るものは無いのです。

息をするのがやっとの時間をやり過ごし、時間ピッタリにお見舞いに行きました。
手術は無事に終わり、麻酔からも覚め、今は問題無いとの事でした。
少し安心しましたが、心なしか私のお腹の辺りが何だかムズムズする気がします。
膿もたっぷり詰まっていたようで、摘出した子宮と卵巣を「見ますか?」と聞いて下さったのですが、丁重にお断り申し上げました。
子宮蓄膿症の手術では、摘出の際に子宮が破裂し、細菌が飛び散らないよう細心の注意を払わないといけないそうです。
手術後に面会したモモは、麻酔から覚めたばかりでボーっとして細い目になっていました。
舌を出してハァハァしているし、なんだかともて痛そうです。。
念のため痛み止めはしてくれるのか聞いてみましたが、ちゃんとして下さるとの事でした。
大分体調が悪いのか、私がそばにいても嬉しそうにはせず、黙ってジッと耐えている感じでした。
そうだよね、、お腹切り開いて内臓取り出してるんだもんね。。。

それにしても犬の手術の後は切った後丸出しです。
モノにもよるのでしょうが、モモは包帯などはしていませんでした。
包帯なんかした方が、気にして変にいじって大参事になるのでしょうか。。
想像しただけで恐ろしいものです。。。

縫い目を見ながら「まるで本物のヌイグルミだな…」と、私は思いました。
↓は、退院して来た時の写真です。さすがに縫い目のアップは撮れませんでした。
子宮蓄膿症手術後
幸いモモは、手術したその日から元気にご飯を食べられたそうです。
初めての入院と手術後の痛みで食欲を無くす事無く、元気にモリモリ食べていたと聞きました。
やはり、食欲があるからと言ってモモの場合は油断してはいけなさそうです。
初めての入院だったけれど騒ぎもせず、本当にお利口にしていました。
正直、私より偉いです。

私は退院まで毎日お見舞いに通いました。
面会時間はいっぱい、モモに張り付いていました。
念のためご迷惑ではないかと病院のスタッフさんに聞いてみましたが、飼い主さんが一緒にいた方が早く元気なれると言って下さいました。
「ええ、邪魔です。」とは思っていても言えないでしょうが。。。
あらかじめまとめて休みを取っておいて本当に良かった。

周りには、同じ病気で手術をした子が他に3匹もいた。
やはり避妊手術をしていない犬に多い病気なのか、それとも病院だから病気の子が来るのだから、たまたま同じ病気の子が居ても当たり前なのか。。

モモの避妊手術には大いに悩みましたが、やはり健康な体にメスを入れる事の抵抗と、人間でそんな事をしている人はいない事が引っかかり、本当に良い選択かどうかが分からなくて、結局しないで過ごして来ました。
病気になる前に手術をしておけば小さい切開で済みますし、
(子宮蓄膿症になってからでは、膿が溜まった臓器を取り出すため大きく切開しなければ取り出せない。また取り出す際に破裂しないよう細心の注意が必要となる。)
病気の発見が遅れて大参事ということも防げます。
でも、避妊手術・去勢手術なんてしているのは犬猫だけ。。
この謎を解明できればスッキリと踏み切れるのに。

毎日お見舞いに通う中、モモは経過も良くどんどん元気になって行きます。
顔もだんだんニコニコになって来ました。
モモは、
「何か痛い。でも、何で痛いかが分からない。ちょっと具合悪いと思ったら、すっごい痛くなっている。何でだろう。」
みたいな感じでした。

私はいつ退院しても大丈夫なよう家を綺麗に掃除し、新しいベッドを買ってハウスの中に入れておきました。
モモは包帯をしていなく縫い目が丸出しだったので、万が一バイ菌でも入ってはいけないと思い(そんな事は無いかもしれませんが;;)新しい物にしておきました。
そして入院4日目に、「明日退院できますよ」と言われ、私はあまりの早さにビックリしました。
例えば、人間がお腹を開く手術をしても、1週間も経たずに退院出来るものなのでしょうか!?
てっきり早くて1週間か普通で10日位なんて勝手に想像していましたので、本当にビックリで、嬉しいよりむしろ怖いです★
出来れば傷が綺麗サッパリ無くなるまで入院させてもらいたいくらいです。
抱っこする時はいったいどこを持ったらいいんだろうか…。と困りました。

私は傷口に触りたく無かったので(引っ掛けて開いたりしたら嫌だから)、クレートを用意してそれで移動する事にしました。
退院時に大丈夫ですか?大丈夫ですか?と何度もお医者様に確認してしまい、「何て心配性の人なんだろう…」と思われたかもしれません。。

おっかなビックリ家に帰り、モモは一瞬はしゃぎそうになりましたが、「イテッ」となり止めたようです。
私もそういう事は当分控えていただきたかったので、良かったです。
モモはソファーに上りますが、しばらくは上ろうとして「イテッ」となり、
その都度私に「上げてくれ」と目で訴えて来ました。
そう言われてもどこを持ったらいいのか分からないし、急にビョンと飛び降りても怖いし、私が床に下り「これで勘弁してくれ。」とお願いしました。

それにしても、モモの傷跡は非常に綺麗です。
私が見た事がある人間の手術の跡はこんなに綺麗では無かったのですが、モモのは本当にスパッとしてて綺麗です。
でも、怖くてあんまりジロジロは見られません;;

その後、順調に回復しモモは元気になりましたが、なんせ私はこういうのにはとてもビビリなものですから、しばらく散歩等には細心の注意を払っていました。
ちょっとでも激しい動きをしそうになると、私は「ひ~~~っ…!!」となっていました。
抜糸したからと言って、私の心中は早々には穏やかにはなりませんでした。

そして月日は経ち、初めての手術から6年となりましたが、傷は全く残っていません。
見た目には切った跡など本当に分からないのです。
犬ってそうなんだろうか。。それともお医者様がとても上手だったのだろうか。。。
ただそこを触ってみると、ちょっとデコボコして固くなっています。
怖いのでじっくりは触れません。
切った所はそのうち溶けて無くなる糸で縫合されているので、肉芽腫とかの心配はあまり無いそうですが、自分の未体験ゾーンなので注意は怠らないようにしようと思っています。

私もモモを見習って、自分が病院にかかる時は、騒がず大人しく治療を受けようと思います。

Momo's Episodeモモのエピソード


モモとの暮らしは宝物。
犬とはこんなに知恵のある生き物
だったのかという驚きと、
犬とはこんなに色んなことを感じて考える
生き物だったのかという感動と、
病気やトラブルの経験談などをお伝えしたいです。

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